認可保育所への補助金が保育士の給料引き上げに生かされているかをチェックする動きが、東京都内の自治体で広がっています。足立区は一部の保育所で保育士の給料が増えているかを追跡調査。千代田区は運営業者に賃金台帳の提出を求めています。保育士の待遇改善を推進することで担い手を確保し、保育所に入れない待機児童の解消につなげたい考えです。

 足立区は2016年度から、保育士の給与引き上げを目的に前年度支給した補助金が適正に使われたかどうかの追跡チェックを始めました。公設民営の認可保育所を対象に、保育士が実際に受け取った給料の金額を調査。改善していない事業者には前年度支給した補助金の返還や減額などを求めました。

 千代田区は今年度から、保育所の運営業者が前年度の事業報告書を提出する際、これまで義務付けていなかった保育士の賃金台帳を提出するよう求めています。同区は保育士の給料を月2万円上乗せするための補助金を出しています。補助金を目的外に使っていることが発覚した場合は、返還を求めます。

 世田谷区は昨年、保育所への補助金の交付要綱を改定する際、保育士の待遇に関する規定を追加しました。開設して2年目以降の保育所が補助金を受けるには「前年度の経常収入に対する人件費の比率が50%以上であること」を条件にしました。世田谷区では、「保育の質をみるには人件費が一つの目安となる」からです。

 このほど昨年度分の補助金について調査を始めました。区内の認可保育所の人件費比率は一般的に70~80%程度で、50%を下回るところはないとみられますが、同区はこの規定が不当な給料抑制を防ぐ「最低限の歯止めになる」とみます。50%を下回った場合は、数千万円規模の補助金の削減になる可能性があります。

 認可保育所に対しては、都が児童福祉法に基づいて立ち入り調査していますが、保育所1カ所につき3~5年に1回程度。区の調査もこれまでは運営面のチェックが中心で、保育士一人ひとりの給料がどれだけ改善されているかを把握するのは難しいといいます。